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【竣工レポート・お客様の声】大田区・戸建茶室リフォーム
茶室建築・リフォームのリンクス・ホリ、広報のWです。
最近は特に住宅の中の洋間を茶室にリフォームしたい!というご要望が多くなりました。
コロナ禍の自粛期間を経て、ご自宅でお茶をもっと深めたい、と考えられる方が増えているようです。
先月末も、東京都大田区の戸建て住宅リフォームのお引渡しがございましたのでご紹介いたします!
夏真っ盛りのある日。
全ての工事が完了し、最後のクリーニングの業者さん作業が終わったできたてのお茶室です。
花月のお点前もできる8畳の茶室
右側の襖の先が↓の控えの間
こちらはすっきりと見せるために縁なし畳で仕上げました
お客様はお稽古のできる茶室を作れる新居をお探しで、物件探しからご相談をいただいておりました。
茶室にリフォームした際の使いやすさを考えながら、ここなら、というお宅を見つけご購入。
ふんいきがよく、お稽古も茶会もしやすい間取りに出来上がったと思います!
正座が辛いというご主人様にもお茶を楽しんでいただきたいという、
奥様のご要望で追加工事させていただいた掘りごたつ式の座席。
この日は現場監督の足をお気遣いいただき開けて下さました。
座面には毛氈などを敷く予定。
【竣工レポート・お客様の声】大田区・戸建茶室リフォームの続きを読む
(サイト管理者) 2022年8月17日 16:30
畳を知る・柴又/須藤畳店さま見学
ご案内くださった須藤畳店ご主人と息子さん
実はこちらは私の高校時代の友人のご実家で、現在はお父さまとお兄さまのお二人で畳を作られています。東京では珍しくなった下町の風情が残るこの柴又で、長く地元の住宅や商店に畳を納めてこられました。
高校時代から「いつかマイホームを持つときには、須藤畳店に頼もう!」と密かに心に決めていました。
マイホームはまだ先ですが、こうしてお仕事で伺うことができて大変嬉しいです。
さて、今回お伺いしたのは、「床下収納のために、軽くて丈夫な上げやすい畳はできないでしょうか」という相談をさせていただくためでした。
そのためにはまず畳を知らなきゃ話にならん。
ということで、畳を構成する要素について、お話いただきました。
皆様もご自宅の茶室・和室を検討される際の参考に、ぜひご覧になってください!
・・・
畳床(たたみどこ)
畳床とは畳の芯材のことで、座り心地や重さだけでなく、虫を通しにくいだとか、さまざまな要素を決める重要な材料です。
一番古くから使われているのはわらを何層にも積み重ねて圧縮してつくる「藁床」です。
丈夫で長持ち、ふんわとして座り心地もよいけど、ものすごく重い。お茶の先生方は「しっかり詰まった藁床が一番足がしびれないのよ」と仰りますね。
一枚で30kg以上あるため、一般住宅ではなかなか採用されなくなりました。
その耐久性は歴史が照明しており、
現在もっとも使われているのが「建材床」と呼ばれる、「畳ボード」を重ねたものです。
間に発泡材を挟んで厚みを出します。
手で持ってくださってるのが畳ボード二枚重ね
右側のブルーのものが、畳ボードの間に軽い発泡材を挟んで厚みを出したもの。
藁床に比べぐっと軽く、工業製品なので供給が安定していて安価です。また、解体家屋から出る廃材などの再生資源を利用したものも多く、エコロジー。
クッション性は藁床には劣ります。
間に使われている発泡材はホームセンターなどで見かけるものよりずっと目が細かく、ダニなどの虫を通さないというのも嬉しいところ。
しかし軽いと言っても10~20kgはあります。
最後に見せていただいたのがこちら、「衝撃緩和型たたみケアケア畳」です
その名の通り発泡材の間に衝撃を緩和するコルゲート板(波板)を挟み、発泡材の強度を補いつつ、転倒時の衝撃を緩和してくれます。
白い層が反発力のある表面材、水色が発泡材、黒い層がコルゲート板
介護の現場用に開発されたもので、とても軽く柔らかく、足腰への負担を和らげてくれます。
建材床より高価になりますが、介護保険における住宅改修対象のため、要支援・要介護と認定された場合は補助を受けることができるそうです。ご高齢のご家族のためのリフォームをお考えの方、ぜひご活用ください◎
軽くて丈夫な所が今回の要望にマッチしそうです!
あとは厚みの問題だけですので、畳床加工ができる会社を今度は探していきたいと思います◎
畳表(たたみおもて)
畳表はイグサなどで作られる織物、単体では「茣蓙(ゴザ)」と呼ばれます。
様々な種類・ランクの畳表を見せていただきました。
品質の違いが写真からもなんとなく伝わるのではないでしょうか。
国産のふっくらしたイグサをたっぷり用いたものほど高級で見た目も美しく、
外国産の安価なイグサをざっくり織ったものはやはりバラバラとした印象になりますね。
右上の目が細かいものと二色の市松になっているものは和紙を織ったものですしたものです。様々な色に染めることができるので洋間に合わせやすく、モダンな住宅に人気があります。ただし強度はイグサには負けるので、茶室のように立ったり座ったり歩いたりが多い場合は不向きかもしれません。
畳縁(たたみべり)
畳縁は畳の補強をするために畳に付けられている布です。古くは綿が主流で、現在では化学繊維交じり、高級なものだと麻製のものもあります。
茶室では基本的には濃紺などの無地ですが、一般のご家庭ではひし形などの柄入りも馴染みがありますね。
縁を付けずに仕上げることもできますが、その場合は時間も費用もかかるんだそうです。
琉球畳のこと
畳縁の無い半畳の畳のことをよく「琉球畳」と呼びますが、一般に流通しているものは厳密には「琉球畳風」にとどまるということはご存知でしょうか?
私は恥ずかしながら知りませんでした。
本物の琉球畳は七島藺(しちとうい)というイグサとは異なる植物を使用しているんだそう。七島藺(しちとうい)は柔道用の畳に使われるように、優れた強度を持つ植物ですが、現在では大分県の一部の農家さんで作られているのみなんだとか。
・・・
どんな畳床に畳表を合わせるか、また
さらに大きさはどうなのか。
畳は基本的にひとつひとつ特注です。
おうちの寸法に合わせ畳屋さんが畳床を切り、畳表を縫い合わせます。
先代が作られたという畳を縫う際の手当て
畳を縫う作業はほとんどが大きな機械でされますが、一部、手縫いが必要な場合や、手縫いで仕上げる昔ながらの畳の依頼もあり。
そんなときにこちらの手当てが用いられるんですが、代々直しながら使われていて何とも美しい。
最近ではお兄さまが畳製作技能士(国家資格!)一級の試験に向けてこちらを使って研鑽されているそう。
・・・
畳屋さんのお仕事は、畳床に畳表や畳縁を縫い、お客様のお家に納めるところまで。
下町・柴又は畳のあるお宅や商店が多く、須藤畳店はそういった地域の住宅を支える畳屋さんとして、代々技術を受け継ぎ商いをしていらっしゃいました。
須藤畳店のみなさま、お忙しいなかご親切に教えていただき本当にありがとうございました!
・・・
余談ですが、柴又と言えば帝釈天!
そのすぐ近くに、旧家の邸宅である「山本亭」がありまして、葛飾区の所有のためなんと100円で入場できます。
炉の切られた広間茶室で抹茶などの喫茶もされているので、茶室見学・ご休憩におすすめです◎
友人曰く、須藤畳店が納めた畳...のはず、とのこと
水屋も見られます。私は茶室の中で水屋を見るのが一番好きです。
表千家によく見られる通し棚か2枚のタイプで、水道が真ん中に取られているのが少し珍しい。
茶室から日本庭園を臨む
担当:W
(スタッフ) 2022年8月 1日 17:50
自然に、片付ける(陶芸家三宅直子さんの点前座にも水屋にもなるキッチン・5)
道具は使いやすく、ひとところにまとめておくべし使いたいものは、目につくところに出してテンションを上げるべし目隠しのないオープンキッチンは、工夫次第でお茶空間になる高さのある道具(ここでは水指)は空間を引き締め、結界を作る使用後の道具はとにかく乾かしてから、定位置へ
・毎月第1・3金曜日 または 第2・4金曜日・9:30-12:00 または 14:00-16:30・会費 ¥5,000/月・土代(釉薬・焼成費込み) ¥1,000/800g・入会金 ¥5,000・JR横浜線「成瀬」駅より徒歩約15分・お問い合わせ: mail@e-n-studio.com
(サイト管理者) 2022年7月26日 08:53
【茶と家コラム】キッチンで、美しく、茶を点てる/陶芸家・三宅直子さんのキッチン・4
短い梅雨はもう遠くなってしまったのか、明るい太陽が輝く日が続きます。
埼玉県さいたま市の茶室デザイン/設計・施工事務所、リンクス・ホリです。
茶の湯とともに暮らす方のご自宅にお邪魔して、お茶を一服点てていただき、支度や片付けなどを見せていただく連載「お茶を一服、いただけますか」。
前回に引き続き陶芸家・三宅直子さんのキッチンからお送りします。
前回のお仕度で、鉄瓶を火にかけ、水指に水、棗に抹茶を張り、お道具をシンクとコンロのあいだに整えました。
↑④番を点前座、③番を客座に見立てて
直子さんのキッチンユニットはコン前のパネルやダイニング側の立上がりがない、とことんフラットなタイプ。ダイニングテーブル側から見たときにもすっきりとお茶空間らしく映ります。
コンロの隣を点前座に見立てた直子さんのお茶空間、風炉のように鉄瓶を火にかけたままお点前ができます。
お茶碗を濯いだ際のお湯や水をすぐシンクにあけてもいいのですが、そこは一旦建水にあけます。
「シンクも真横にあるんですが、お客様の前で直接シンクに流すよりは建水にあけた方がいいかなと。あと、鉄瓶なので正式なお点前では水指は使わないのですが、ここはあった方がお茶らしく見えるのでいつも用意しています」
合理性とパフォーマンス性を備えたおもてなし、たのしく拝見しました。
お菓子、お茶ともに器はもちろん直子さんの作品。
特にお茶碗は、「今日のために焼きました!」と新作をご用意くださいました。心づかいとクリエイブが爆発していてさすがの一言です。
Q:お茶をはじめたきっかけはなんでしたか
A:多摩美術大学の大学院生時代に住んでいたアパートの大家さんに、地域の文化祭で華道家の方が花を生けるお花入れを依頼されたのがきっかけでした。
その華道家の方がお茶の先生の息子さんだったんですが、茶花のこともお茶のことも何もわからなかったのと、もともと器を作っていく上で、お茶のことは学んだ方がいいんだろうな、という気はしていたので、ちょっと数回勉強させていただこうと思って伺ったんです。
でも数回では何もわからなくて、そのまま入門しました。
Q:お茶を点てるときはどんな時ですが、どんな人といただきますか
A:家にお友達が来たときに点てたりしますが、一番はデパートとかでおいしそうなお菓子を見つけた時に自分のために点てることが多いです。家族に付き合ってもらって。
オープンアトリエでいらした方にもお茶を差し上げる準備をしているんですが、皆さんめいいっぱい制作されて時間がなくなることが多くてなかなか。笑 でも少人数のときで時間があればキッチンで点ててアトリエに運んだりします。ほかにもアトリエの生徒さんと外部の茶室を借りて、自分たちの作品などを持ち寄ってお茶会をときどきしています。
Q:はじめて購入したお道具や、思い入れのあるお道具を見せてください
A:稽古の七つ道具以外だと、茶筅を小渕の茶道具屋さんで求めたのが最初です。茶碗は働いている陶芸教室で試しに作ってみたのが最初ですね。なんとなく手放しがたくて今でも持っています。
思い入れのある道具は、お茶の先生にご依頼で制作した片口茶碗です。
普通だったら作る必要がなかった器ですが、コロナで濃茶の回し飲みができなくなって、それでもやっぱりみんなで一つの場所を共有しましょうってなったときにいろいろ先生が工夫されて。みんなで楽しくお茶できることに感謝しましょう、っていう場に参加できたことがありがたいと思いました。
Q:お道具管理の工夫している点や、これまでの失敗譚があれば教えてください
A:工夫としては、普段使うものはまとめておいて、使うようにする。使いたい器などは使うときに出すのではなく、前もって出しておいて使うのを楽しみにするようにしています。
失敗は、あんまり言いたくないんですけど、茶碗をよく乾かさずにしまってしまって、貫入(釉薬の表面のひび)にびっしりカビがはえたことがあります...それ以来、一晩以上出しておいてからしまうようにしています。
Q:ご自宅の水屋/キッチンで気に入っている点や、今後改善したい点を教えてください
すべて見せない収納になっているところが気に入っています。食器類も乾物もスパイスもゴミ箱もキッチンユニットの引き出しに入ってるんです。全て仕舞って、フラットにできるので茶道具も広げやすい。
あとはシンクのそばにちょっと柄杓をかける場所や、茶筅をかける場所が手元にあったらいいなと思います。
Q:三宅さんにとってお茶とはなんですか
感謝、かなと思います。
お茶というかお茶のお稽古で先生のところに伺ったときに感じるんですが、いろんなことに対する感謝を感じられる瞬間。
普段は生活のこととか自分のことに頭がいきがちですが、人とのつながりとか、季節の移ろいとか、先生のお話を伺いながら一服点てていると、周りを感じられる瞬間で、ありがたいひとときだなと思います。
次回に続きます
(サイト管理者) 2022年6月20日 10:34
【茶と家コラム】「お茶を一服いただけますか」陶芸家・三宅直子さんの、水屋にも点前座にもなるキッチン・3
(サイト管理者) 2022年5月30日 18:10